「今のままのキャリアでいいのだろうか」「新しい分野を学び直したい」「働きながら大学に通えるのか不安」——そう感じている社会人は年々増えています。
文部科学省の調査でも、社会人の約6割が「新しい学びに挑戦したい」と回答しており、いわゆるリカレント教育(学び直し)の需要は右肩上がりです。
特に2025年以降は、DX・AIの普及、資格要件の厳格化、副業解禁の広がりによって、社会人が大学に再び入学する動きが活発化しています。
しかし一口に「学び直し」といっても、通信制大学・夜間課程・オンライン大学・大学院など選択肢は多岐にわたり、「どの大学が自分に合っているのか?」と迷う方がほとんどです。
本記事では、社会人が学び直す上でおすすめの大学・学部をランキング形式で紹介しつつ、学費・卒業率・学び方の違い・体験談まで網羅的に解説します。
社会人が大学で学び直す理由とは?
社会人が改めて大学に通う背景には、以下のような事情があります。
- キャリアアップや転職のため
→ MBAや法律系の知識を学び直し、キャリアチェンジに活用 - 資格取得が必要になったため
→ 教員免許更新、行政書士・FPなどの専門資格 - リスキリング(スキル再習得)への対応
→ DX化に伴うデータサイエンス・AI活用力 - 純粋に教養を深めたい
→ 歴史・心理学・文学など、学び直しは自己投資でもある
こうした背景から、社会人が大学を選ぶ際には「キャリア直結型」と「教養型」の二軸で整理するのがわかりやすいでしょう。
学び直しにおすすめの大学の種類(強化版)
社会人が大学で学び直しをするといっても、選択肢はひとつではありません。近年はライフスタイルやキャリア目的に合わせて、通信制大学・夜間課程・オンライン大学・専門職大学院など、さまざまな学習スタイルが整っています。
「仕事と両立できるか」「学費はどれくらいかかるのか」「卒業しやすいのか」——これらを考える上で、大学の種類ごとの特徴を理解することはとても重要です。ここでは、社会人が選びやすい代表的な学習スタイルを4つに分けて詳しく解説します。
1. 通信制大学
特徴
- 郵送教材やオンライン授業を中心に学習
- 働きながらでも学びやすい柔軟なスタイル
- 放送大学や慶應義塾大学通信教育課程などが有名
メリット
- 学費が比較的安い(年間10〜30万円程度)
- 全国どこからでも受講可能
- 入学のハードルが低く、社会人でも入りやすい
デメリット
- 自己管理が必須で挫折率が高い(卒業率30〜40%程度)
- 学生同士の交流が少なく孤独感を感じやすい
- スクーリング(対面授業)が必要な場合もある
向いている人
- 自分のペースでコツコツ勉強できる人
- 学費を抑えつつ学位を取得したい人
- 忙しい生活の中で柔軟に学習を組み込みたい人
2. 夜間課程(イブニングコース)
特徴
- 夕方〜夜に授業が行われる通学スタイル
- 法政大学・早稲田大学・明治大学などで社会人向け夜間課程を開講
メリット
- 対面授業で仲間と一緒に学べる
- 学習習慣を作りやすく、卒業率が比較的高い
- 教員との距離が近く質問しやすい
デメリット
- 平日夜にキャンパスへ通う負担がある
- 首都圏・大都市圏に限られる場合が多い
- 残業や家庭の事情で出席できないと単位取得が難しい
向いている人
- 通学でモチベーションを維持したい人
- 学生仲間との交流を重視する人
- 首都圏や都市部に勤務している人
3. オンライン大学(フルリモート型)
特徴
- 授業・試験・レポート提出をすべてオンラインで完結
- サイバー大学(ソフトバンクグループ)、ビジネスブレークスルー大学などが代表例
メリット
- 場所や時間を選ばず、100%自宅で完結できる
- 社会人専用に設計されているケースが多い
- IT・ビジネス系分野に強い大学が多い
デメリット
- 仲間や教員とのリアルな交流が少ない
- ネット環境に依存するため通信環境が必須
- 通信制同様、自己管理力が求められる
向いている人
- 出張・転勤が多く、通学が難しい人
- 完全オンラインで効率よく学びたい人
- IT・DX分野に関心がある人
4. 専門職大学院(MBA・法科大学院など)
特徴
- 高度な専門性を持つ社会人向け大学院
- グロービス経営大学院、早稲田MBA、各地の法科大学院などが有名
メリット
- 実務直結の知識を短期間で学べる
- 同級生が社会人中心で刺激が大きい
- 修了後のキャリアアップ効果が高い
デメリット
- 学費が高額(200〜400万円が一般的)
- 入試があり、一定の学力や実務経験を求められる
- 課題量が多く、仕事との両立が厳しい
向いている人
- 管理職・経営者を目指す人
- 法律や公共政策など専門職キャリアを歩みたい人
- 高額投資をリターンにつなげたい人
種類ごとの比較表
種類 | 学費の目安 | 卒業率 | 学習スタイル | 向いている人 |
---|---|---|---|---|
通信制大学 | 年10〜30万円 | 30〜40% | 教材・オンライン中心、スクーリングあり | 自己管理できる人、学費を抑えたい人 |
夜間課程 | 年50〜100万円 | 70%前後 | 平日夜に通学 | 学生交流を重視、都市部在住 |
オンライン大学 | 年20〜40万円 | 非公開だが通信制より高め | 完全オンライン完結 | 出張が多い、IT/DX志向 |
専門職大学院 | 総額200〜400万円 | 80%以上 | 集中講義+課題中心 | MBA・法学などキャリア直結狙い |
まとめ:自分のライフスタイルと目的に合わせて選ぶ
- コストを抑えて学び直したい → 通信制大学
- 仲間と切磋琢磨したい → 夜間課程
- 通学せず効率重視 → オンライン大学
- キャリアアップを最短で → 専門職大学院
大学の種類を理解して選択すれば、途中で挫折せずに最後まで学びきれる可能性が高まります。
社会人に人気の学部・専攻
社会人の学び直しで選ばれる学部・専攻には、明確な傾向があります。
それは「キャリアに直結する分野」と「人生を豊かにする教養系分野」に大別できます。
ここでは特に人気の高い専攻を具体的に解説します。
1. 経営学・MBA
特徴
- 企業経営、マーケティング、財務、戦略論などを体系的に学べる
- 起業志望者や管理職へのステップアップを目指す社会人に人気
学び直しのメリット
- 経営戦略や会計知識を現職で活かせる
- 転職市場での評価が高く、キャリアチェンジにも有効
- 同級生が社会人中心のため、人脈づくりの面でも強み
おすすめ大学例
- グロービス経営大学院(実務直結型MBA)
- 早稲田大学ビジネススクール
2. 法学
特徴
- 憲法・民法・商法・行政法など幅広く学ぶ
- 公務員試験や司法試験、行政書士・司法書士など資格にも直結
学び直しのメリット
- 企業法務やコンプライアンス担当としてのキャリアに有利
- 社会人としての権利・契約知識を身につけ、ビジネスリスク管理に役立つ
おすすめ大学例
- 中央大学 法学部 通信教育課程(法律教育の実績が高い)
- 慶應義塾大学 法学部 通信教育課程
3. 情報学・データサイエンス
特徴
- プログラミング、AI、ビッグデータ分析、DX推進に必要な知識を学ぶ
- 文系出身の社会人からも人気が急上昇中
学び直しのメリット
- IT業界へのキャリアチェンジに有効
- DX人材として企業内での評価が高まる
- 副業やフリーランスとしてスキル活用も可能
おすすめ大学例
- サイバー大学(IT・情報系に特化)
- 放送大学 情報コース
4. 心理学
特徴
- 発達心理、臨床心理、カウンセリング技法などを学習
- 教育・医療・福祉・ビジネス分野で広く応用可能
学び直しのメリット
- 子育てや人材育成に役立つ
- 公認心理師や臨床心理士を目指す人も多い
- 福祉や教育の現場でニーズが高い
おすすめ大学例
- 放送大学 心理と教育コース
- 早稲田大学 人間科学部 eスクール
5. 教育学
特徴
- 教育制度、指導法、教育心理などを体系的に学ぶ
- 教員免許更新・再取得に対応できる大学も多い
学び直しのメリット
- 教員として現場に復帰可能
- 社会教育や研修講師など新たなキャリアに展開できる
- 子育て世代にとって家庭教育にも活かせる
おすすめ大学例
- 放送大学 教育コース
- 玉川大学 通信教育課程(教員免許に強み)
6. 経済学・会計学
特徴
- ミクロ経済、マクロ経済、ファイナンス、簿記などを学習
- 資格取得(簿記・FP・税理士)への登竜門
学び直しのメリット
- お金の知識が実生活に直結
- 企業経理・財務・金融機関への転職や昇進に強い
- 副業での資産運用アドバイスにも活かせる
おすすめ大学例
- 慶應義塾大学 経済学部 通信教育課程
- 近畿大学 通信教育部 経済学科
7. 医療・福祉関連
特徴
- 社会福祉士、介護福祉士、看護学など
- 高齢化社会で需要が増大している分野
学び直しのメリット
- 国家資格取得でキャリアチェンジ可能
- 地域社会に根差した仕事を得られる
- 今後ますます需要が伸びる安定分野
おすすめ大学例
- 日本福祉大学 通信教育部
- 聖徳大学 通信教育課程
まとめ:専攻は「キャリア直結型」か「自己成長型」で選ぶ
- キャリア直結型 → 経営学・法学・情報学・会計学
- 自己成長型 → 心理学・教育学・福祉学・教養系
社会人が学び直しで成果を得るためには、「何を目的にするか」を明確にし、その目的に合った専攻を選ぶことが成功のカギとなります。
2025年版|社会人におすすめの大学ランキング
ここでは、社会人の通いやすさ・卒業率・実績をもとにランキング形式で紹介します。
順位 | 大学名 | 特徴 | 学費(目安) | 向いている人 |
---|---|---|---|---|
1位 | 放送大学 | 全国どこでも学べる通信制の王道 | 年間約15万円 | 幅広く教養を学びたい人 |
2位 | 慶應義塾大学 通信教育課程 | 歴史とブランド力 | 年間約20〜25万円 | 学歴ロンダリング・キャリアUP |
3位 | 早稲田大学 人間科学部 eスクール | 完全オンライン授業 | 年間約25万円 | オンラインで卒業を目指す人 |
4位 | サイバー大学 | IT系に強い | 年間約30万円 | DX・ITを学びたい人 |
5位 | 中央大学 法学部 通信教育課程 | 法学特化 | 年間約18万円 | 法律・行政職を目指す人 |
6位 | グロービス経営大学院 | MBAに特化 | 2年で約300万円 | 起業・経営幹部志望 |
大学選びのポイント
社会人が学び直しを考えるとき、最も悩むのが「どの大学を選ぶべきか」という点です。
大学ごとに学費や授業形態、サポート体制は大きく異なり、選び方を間違えると途中で挫折してしまうリスクもあります。
ここでは、社会人が特に重視すべき4つの観点を具体的に解説します。
1. 学費と費用対効果
学び直しは自己投資ですが、学費の負担は大きな判断材料になります。
- 通信制大学:年間10〜30万円前後と比較的安価。会社員や子育て世代に人気。
- 夜間課程(通学制):50〜100万円程度。学費は高めですが、対面で学び仲間と切磋琢磨できる価値がある。
- 専門職大学院・MBA:2年間で200〜400万円と高額。ただし、キャリアアップや転職・昇進でリターンを見込める場合は費用対効果が大きい。
単に「安いから通信制」と決めるのではなく、“学び直しで何を得たいか”と投資額のバランスを考えることが大切です。
2. 卒業率と学習サポート
大学選びで見落とされがちなのが「卒業率」です。通信制大学は入学しやすい反面、卒業率が30〜40%程度に留まるケースが多いのが実情です。
一方で、夜間課程や社会人向けのeラーニング特化大学は、専任チューターや学習相談体制が整っており、卒業率は70〜80%に達するところもあると言われています。
「途中で挫折しないために、どのような学習支援があるのか」を必ず確認しましょう。
例:
- チューター制度(質問・添削のサポート)
- 定期的な学習進捗チェック
- オンライン掲示板やゼミでの交流
3. 通学負担とライフスタイルへの適合
社会人にとって「通学のしやすさ」は非常に重要です。
- オンライン完結型大学(例:サイバー大学)は、ネット環境さえあればどこでも学習可能。出張や転勤が多い人に適している。
- 夜間課程は通学の負担はあるものの、学生同士のネットワークを築きやすい。モチベーション維持に有効。
- スクーリング必須型(放送大学など)は、年数回の通学が必要。全国に学習センターがあるか確認することが大切。
学習を継続するためには、仕事・家庭・学習のバランスをどう組み立てられるかがポイントになります。
4. サポート体制と人とのつながり
社会人は「一人で黙々と勉強」するスタイルではモチベーションを維持しにくいことがあります。そのため、大学が提供するサポート体制は選択の決め手になります。
- オンライン質問サポート:教員にメールやチャットで気軽に質問できるか
- 学習コミュニティ:同じ科目を学ぶ学生同士で交流できる環境があるか
- キャリア支援:資格取得や就職・転職サポートがあるか
学び直しは知識を得るだけでなく、新しい人脈を作る場にもなります。仲間や講師とのつながりは、卒業後のキャリアや人生にも大きく影響します。
つまり大学選びは「目的×続けやすさ」で決まる
大学選びでは、学費や学習方法だけでなく「自分が何を目的に学び直すのか」「どんな環境なら続けやすいのか」を軸に考えることが重要です。例えば、
- 資格取得が目的 → 卒業率の高い大学・通信制でも資格支援があるところ
- 教養や趣味の延長 → 学費の安い放送大学やオンライン完結型
- 転職や年収アップ → MBAや専門職大学院
このように目的と条件を照らし合わせることで、失敗しない選択ができます。
通信制と通学制の比較
項目 | 通信制大学 | 通学制大学(夜間) |
---|---|---|
学費 | 安い(10〜30万円/年) | 高め(50万円〜/年) |
学習スタイル | 自宅・オンライン | キャンパス通学 |
卒業率 | 低め(30〜40%) | 高め(70%以上) |
交流 | 少ない | 学生同士の交流あり |
向き不向き | 自己管理が得意な人 | 対面学習で刺激を受けたい人 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 社会人でも大学に入り直せる?
A. はい。通信制・夜間・オンライン大学なら働きながらでも可能です。
Q2. 学費はどれくらい?
A. 通信制なら年間10〜30万円程度、MBAなら200〜300万円かかります。
Q3. 卒業までにかかる年数は?
A. 学士課程は通常4年。短期卒業制度を利用すれば3年で卒業も可能。
Q4. 学び直しで本当にキャリアは変わる?
A. 分野次第ですが、MBAや法学などは転職・昇進に直結するケースが多いです。
Q5. 通信制と専門学校、どちらがいい?
A. 資格取得が目的なら専門学校、学位が欲しいなら通信制大学がおすすめです。
行動を後押しする結論
社会人が学び直しを考えるとき、多くの方が最初に直面するのは「本当に今からでも遅くないのだろうか」「時間や費用を投資して成果が得られるのだろうか」という不安ではないでしょうか。
確かに働きながら大学に通うのは簡単ではありません。しかし、実際に学び直しを実行した人の多くは「やってよかった」と感じているのも事実。
その理由は、単に学位を得ることや資格を取ることにとどまらず、自己肯定感や新しい人との出会い、考え方のアップデートにつながるからです。
昨今の社会は、AI・デジタル技術の進展や副業・転職の一般化により、「一つの会社で安定して定年まで働く」という時代ではなくなりつつあります。
そのため、自ら学び続けられる人材こそが市場価値を高め、チャンスをつかむことができます。大学での学び直しは、その大きなきっかけになります。
さらに、大学ごとに用意されている社会人向け制度(短期履修・単科履修・科目等履修生制度)を活用すれば、いきなり4年間の学士課程に飛び込まなくても、少しずつ自分のペースで学びを積み重ねることが可能です。
まずは1科目から始めてみることで、学習習慣を取り戻し、自信をつけてから本格的に進学を検討する人も少なくありません。
つまり、学び直しにおいて最も大切なのは「いま、この瞬間に小さな一歩を踏み出すこと」です。
情報を集めるだけで止まってしまうのではなく、気になる大学の資料を請求する、オンライン説明会に参加する、科目履修から挑戦してみる。どんな行動でも、それが新しいキャリアの始まりになります。
学び直しは未来の自分への最大の投資です。仕事と両立しながら挑戦できる環境は年々整ってきています。
今日が人生で一番若い日。迷っているなら、ぜひ行動を起こしてみてはいかがでしょうか。