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サンゲツ値上げ2026年7月|壁紙・床材が18〜30%上がる理由と家計への影響

室内で脚立の横に膝をつき、窓際のドア枠に仕上げ作業を行う職人の様子を描いたイラスト

壁紙の張り替えやリフォームを検討されている方、あるいは新築・リノベーションの計画をお持ちの方にとって、気になるニュースが入ってきました。

国内壁紙シェアの約54%を握るインテリア大手・サンゲツが、2026年7月1日受注分より壁装材・床材をはじめとする全商品の取引価格を大幅に改定すると発表したのです。値上げ幅は18〜30%程度とされており、これはリフォーム費用や新築内装コストに直接影響する話題です。

「なぜここまで大きく上がるの?」「自分のリフォーム計画にどう影響する?」「今のうちに動いた方がいい?」——そんな疑問に答えるため、今回はサンゲツ値上げの背景・内容・家計への影響・対策まで詳しく解説します。


目次

サンゲツとはどんな会社?値上げの影響が大きい理由

まずは、今回の値上げがなぜ広く注目されているのかを理解するために、サンゲツという会社について簡単に触れておきます。

株式会社サンゲツは、1849年創業の老舗インテリア商社で、名古屋市に本社を置いています。壁紙(壁装材)・床材・ファブリック(カーテン・椅子生地)・エクステリアなどを幅広く手がけており、連結売上高は1,898億円(2024年3月期)にのぼります。

とりわけ注目すべきは、そのシェアの大きさです。

商品カテゴリ国内シェア
壁紙(壁装材)約54%
塩ビ系床材約40%

国内の壁紙市場で約54%というのは、「2軒に1軒はサンゲツの壁紙を使っている」計算になります。住宅・マンション・オフィス・病院・商業施設・教育施設など、私たちの生活空間のあらゆる場所に使われているメーカーであることが、今回の値上げが広く影響する理由です。

また、サンゲツは自社工場を持たないファブレス企業(商品の企画・開発は自社で行い、製造は各メーカーに委託する)であるため、原材料コストや物流コストの変動が価格に直結しやすい構造になっています。


今回の値上げの概要:何が・いつから・どれだけ上がる?

サンゲツが2026年4月13日に公式発表した内容をまとめると、以下のとおりです。

項目内容
価格改定実施日2026年7月1日(水)受注分より
対象商品壁装材・床材・ファブリック・エクステリア・副資材・接着剤等
値上げ幅18〜30%程度(商品により異なる)
値上げの理由中東情勢の緊迫化による石油化学原料の高騰・サプライチェーン混乱・製造・物流コストの上昇

注意点として、今後さらなる原材料価格の高騰が生じた場合には、追加の価格改定の可能性もあるとサンゲツ側は明言しています。

前回の値上げとの比較

サンゲツはこれまでにも複数回、価格改定を実施してきました。

  • 2018年10月:壁紙・床材・カーテン等 15〜20%値上げ(原油・物流コスト上昇)
  • 2024年12月:壁装材・床材・ファブリック 10〜15%値上げ(塩ビ樹脂・ナフサ等高騰・物流費上昇)
  • 2026年7月:壁装材・床材・ファブリック・エクステリア・副資材・接着剤等 18〜30%値上げ(中東情勢・石油化学原料高騰)

今回の値上げ幅は過去の改定と比べても最大規模となっており、複数のコスト要因が同時に重なった結果といえます。


なぜここまで大きな値上げになるのか?3つの背景

今回のサンゲツ値上げは単なる「物価上昇のあおり」ではなく、複数の構造的な要因が重なっています。それぞれを丁寧に見ていきましょう。

①中東情勢の緊迫化とホルムズ海峡問題

2026年2月末、中東情勢が急激に悪化し、世界の原油輸送の約2割が通過するホルムズ海峡が事実上の通航困難な状態となりました。日本の原油輸入の約9割は中東依存であり、この事態は日本の石油関連産業に深刻な影響をもたらしています。

日本政府は緊急措置としてガソリン補助金の再開や石油備蓄の放出を実施しましたが、建材・内装材の原料となる石油化学製品の供給不安は依然として続いています。

②ナフサ(石油化学の基礎原料)の高騰と不足

壁紙や床材の主要原料である塩化ビニル樹脂(塩ビ樹脂)や可塑剤は、石油化学製品の一種です。その製造に欠かせない基礎原料が「ナフサ」——原油を精製して得られる化学工業の原点ともいえる素材です。

日本のナフサ調達先は中東が約4割を占めており(経済産業省調べ)、ホルムズ海峡の問題は直接ナフサの供給不安につながります。2026年3月のナフサ価格(速報値)は62,893円/kLと高水準で推移しており、製造コストを大幅に押し上げています。

壁紙・床材とナフサの関係を図解すると:

原油(中東から輸入)
 ↓ 精製
ナフサ
 ↓ 化学反応
エチレン・プロピレン等の基礎化学品
 ↓
塩化ビニル樹脂(塩ビ)・可塑剤
 ↓
ビニルクロス(壁紙)・クッションフロア・フロアタイル(床材)

私たちの住まいの壁紙や床材は、こうした「川上から川下」へのサプライチェーンの最終産物です。中東情勢の影響が、原油→ナフサ→塩ビ樹脂→壁紙・床材という流れで「じわじわと」コストとして積み重なってきているわけです。

③製造・物流コストの上昇が長期化

原材料費だけでなく、製造コスト・物流コストの上昇も深刻です。

  • 製造現場の人件費上昇(賃上げ圧力の継続)
  • 物流費の高止まり(燃料費・人件費・2024年物流問題の影響継続)
  • 製造設備の老朽化・更新コスト
  • サプライチェーン混乱による在庫確保・輸送迂回コスト

サンゲツは「各取引先と連携のもと、商品の安定供給を最優先に努めてきたが、自助努力のみでは現在のサービスレベルを維持することが困難」として、今回の価格改定に踏み切ったとしています。


リフォーム費用への影響はどのくらい?試算してみました

「値上げ18〜30%」といわれても、実際の家計への影響がピンとこない方も多いと思います。現在の壁紙張り替え相場をもとに、値上げ後の費用を試算してみました。

※以下は材料単価の上昇分を試算したものです。施工費(人件費・諸経費)は含まない参考値です。

壁紙(クロス)張り替えの現在の費用相場

グレード現在の平米単価(材料+施工込み)
スタンダードクロス(量産品)1,000〜1,550円
ハイグレードクロス1,300〜1,800円

(参考:リショップナビ・ホームプロ等の集計データ、2026年1〜2月時点)

値上げ後の影響試算(材料費部分が18〜30%上昇した場合)

材料費は施工費込みの総費用のうちおよそ3〜4割程度と言われています。仮に材料費比率を35%として試算します。

部屋の規模現在の目安総費用値上げ後の目安総費用(+20%材料上昇)
トイレ(1坪程度)3〜5万円3.2〜5.4万円程度
6畳 1部屋5〜7万円5.4〜7.5万円程度
LDK(14畳程度)9〜15万円9.7〜16万円程度
一戸建て全体25〜50万円27〜54万円程度

注:上記は材料費単価の上昇分のみを反映した試算です。実際の施工費は業者・地域・工事内容により大きく異なります。

ポイントは、一部屋レベルでは数千円〜1万円程度の差でも、一戸建て全体や複数部屋まとめてのリフォームになると、数万円規模の差になりえるということです。また、床材の張り替えも対象ですので、フロアタイルやクッションフロアのリフォームも同様に値上がりが見込まれます。


壁紙以外にも波及する可能性——副資材・接着剤も対象

今回のサンゲツの値上げ対象は、壁紙・床材・ファブリックだけでなく**「副資材・接着剤等」も含まれている**点が重要です。

壁紙の張り替えには、クロス本体だけでなく以下の副資材が必要です。

  • 壁紙用接着剤(のり):クロスを貼り付けるための糊
  • ジョイントコーク:継ぎ目を目立たなくする補修材
  • シーラー・下地処理剤:下地を整える薬剤

これらもナフサ由来の合成樹脂・溶剤を原料とするものが多く、今回の値上げ対象に含まれています。つまり、壁紙本体の値上がりだけでなく、工事全体のトータルコストが押し上げられる可能性があります。


競合他社への波及と今後の見通し

サンゲツが壁紙市場で約54%という圧倒的なシェアを持つため、サンゲツの価格改定は業界全体の「価格のものさし」としても機能します。過去にも、サンゲツが値上げを発表した後、競合のリリカラ・シンコール・ルノン・トキワ産業なども追随して改定を行う例がありました。

すでに2026年時点では、他の建材・内装材メーカーでも値上げの動きが広がっています。

  • 東リ:内装材の価格改定を先行発表
  • 信越化学工業:塩化ビニル樹脂(壁紙・床材の原料)2026年4月出荷分から30円/kg以上の値上げ

こうした動きから、壁紙・床材の価格水準は7月以降、業界全体として引き上げられる可能性が高いと見られています。

また、サンゲツ自身も「今後さらなる原材料価格の高騰等が生じた場合には、やむを得ず、これ以上の価格改定をお願いする可能性がある」と明示しており、中東情勢の動向次第では追加値上げのリスクもゼロではない状況です。


リフォームを検討中の方へ——7月前に何をすべきか

「リフォームを考えているが、どうすればいいか」という方に向けて、具体的なアクションをまとめました。

今すぐ動ける対策

① 6月末までに発注・契約を済ませる

今回の価格改定は「2026年7月1日受注分から」です。つまり、6月30日までに内装業者やリフォーム会社に発注が完了していれば、旧価格が適用される可能性があります。ただし、業者側の在庫状況や繁忙状況によって異なるため、早めに相談・見積もりを取ることが重要です。

② 複数業者から見積もりを取る

値上がり前後を問わず、壁紙・床材のリフォームは複数の業者から見積もりを取ることが費用を抑える基本です。1社だけの見積もりでは比較ができず、適正価格の判断が難しくなります。

③ 「量産クロス」を優先的に選ぶ

壁紙には「量産クロス(スタンダード品)」と「ハイグレードクロス(機能性・デザイン性重視)」があります。値上がりの影響をできるだけ抑えたい場合は、目立たない場所や広い面積の部分に量産クロスを選び、こだわりたい場所(アクセントクロスなど)だけにハイグレードを使う「メリハリ選び」が有効です。

④ まとめてリフォームで諸経費を抑える

複数の部屋を一度にまとめてリフォームすると、出張費・養生費・処分費などの諸経費を抑えられます。トイレだけ・一部屋だけとばらばらに発注するより、「今年のうちにまとめて」という判断がコスト面でも有利です。

DIYという選択肢

壁紙の張り替えは、一定のスキルがあればDIYで対応することも可能です。材料費だけで済むため、6畳の部屋であれば1〜2万円程度に抑えられるケースもあります。ただし、仕上がりの品質・施工精度・作業時間(初心者では1〜2日必要)などのデメリットも理解した上で選択してください。


新築・建売住宅への影響は?

壁紙・床材の値上がりは、リフォームだけでなく新築住宅・建売住宅のコストにも影響します。

内装材は住宅建設コスト全体の一部ではありますが、一戸建て1棟あたりの使用量は相当なものです。延べ床面積120㎡の住宅で、壁・天井に使う壁紙の面積はおよそ450〜600㎡にのぼります。これが18〜30%値上がりすれば、内装材費だけで数十万円規模のコスト増になる可能性があります。

建売住宅の場合は価格転嫁にタイムラグが生じることもありますが、注文住宅・リノベーションでは7月以降の着工分から価格に反映される可能性が高いため、計画中の方は早めに施工会社と確認しておくことをおすすめします。


家計への影響まとめ:結局どう備えればいい?

今回のサンゲツ値上げは、以下のような方に特に影響があります。

  • 壁紙・クロスの張り替えリフォームを検討している方
  • 床材(クッションフロア・フロアタイル等)の貼り替えを予定している方
  • 新築・建売住宅・リノベーションの契約・着工を控えている方
  • 賃貸物件オーナーで原状回復工事が必要な方

値上げは2026年7月1日受注分からのため、今から動くことが最大の対策です。特にリフォームを「そのうち」と後回しにしていた方は、7月前の発注を検討する価値があります。

また、ナフサ・塩ビ樹脂を原料とする建材は壁紙・床材以外にも広く存在します。断熱材・配管材・シーリング材なども同様のコスト圧力を受けており、住まいに関わる内装工事全般のコストが上昇傾向にあることを念頭に置いておくとよいでしょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. サンゲツの値上げはいつから始まりますか?

A. 2026年7月1日(水)受注分からです。それ以前の受注分については旧価格が適用される可能性がありますが、業者や在庫状況により異なります。早めにリフォーム会社へ確認・相談することをおすすめします。

Q2. 値上げ幅はどのくらいですか?すべての商品が同じ率ですか?

A. 値上げ幅は18〜30%程度とされており、商品によって異なります。サンゲツの公式発表では「値上げ幅は商品により異なる」とされており、一律ではありません。具体的な商品ごとの価格は、各取引業者を通じて案内される予定です。

Q3. サンゲツ以外の壁紙メーカーも値上がりしますか?

A. 過去の事例を見ると、サンゲツが価格改定を行った後、リリカラ・シンコール・ルノン・トキワ産業などの競合メーカーも追随して改定することが多くありました。原材料コストの構造は各社共通であるため、業界全体での値上がりになる可能性が高いと見られています。

Q4. リフォームを7月前に急いで発注するメリットはありますか?

A. 6月末までに発注・契約できれば旧価格が適用される可能性があり、メリットがある場合があります。ただし、業者の繁忙状況や材料の在庫状況によって異なります。「急ぐことで無理な業者選びをしない」よう、早めに複数の業者へ見積もり依頼をかけることが現実的な対応です。

Q5. DIYで壁紙を張り替えれば値上がりの影響を抑えられますか?

A. 材料費のみで済むDIYは値上がりの影響を抑える選択肢のひとつです。ただし、壁紙の張り替えは下地処理・継ぎ目の処理など技術を要する作業であり、初心者では仕上がりにばらつきが出やすい点に注意が必要です。小さなスペース(トイレ・洗面所など)から試してみるのが現実的です。


まとめ

今回のサンゲツ値上げのポイントを整理します。

スクロールできます
ポイント内容
値上げ実施日2026年7月1日受注分より
値上げ幅18〜30%程度(商品により異なる)
対象商品壁装材・床材・ファブリック・エクステリア・副資材・接着剤等
値上げの主因中東情勢緊迫化によるナフサ・石油化学原料高騰+物流・製造コスト上昇
追加値上げの可能性あり(原材料次第で再改定も)
リフォームへの影響小さな工事は数千円〜1万円、大規模では数十万円規模のコスト増の可能性

国内壁紙シェアの過半を握るサンゲツの大幅値上げは、壁紙・床材を使うすべての住まいに関わる話です。特に2026年中にリフォームや新築を予定されている方は、7月前の発注を視野に入れつつ、早めに業者へ相談されることをおすすめします。

壁紙や床材は「住まいの顔」ともいえる部分です。コストを意識しながらも、快適な住まいづくりのための選択を進めていただければと思います。


室内で脚立の横に膝をつき、窓際のドア枠に仕上げ作業を行う職人の様子を描いたイラスト

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この記事を書いた人

yutaのアバター yuta 値上げトピックス運営者/現役会社員

エネルギー業界に勤務する30代。燃料価格や物価の動きを日々肌で感じる立場から、「値上げはなぜ起きるのか、家計にどう響くのか」を生活者の視点でわかりやすく伝えることを目指して、値上げトピックスを運営しています。

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