「車検のとき、また出費が増えるのか……」と感じている方も多いのではないでしょうか。
2026年4月17日、金融庁が自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の審議会を開催し、2026年度内に保険料を約6%引き上げる見込みであることを正式に明らかにしました。引き上げは2013年4月以来、約13年ぶりのこととなります。
自賠責保険は車やバイクを保有するすべての人に加入が義務付けられている「強制保険」です。値上げとなれば、カーオーナー全員の家計に影響します。
この記事では、値上げの背景・改定幅・実際の負担増・注意すべき車検タイミングまで、わかりやすく整理してお伝えします。
自賠責保険とは|なぜ全員が入らなければならないの?
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、自動車やバイクを公道で走らせるすべての人に加入が義務付けられている保険です。「強制保険」とも呼ばれ、未加入のまま走行すると罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が科されます。
補償の対象は「人(対人賠償)」のみです。交通事故で他人にケガを負わせたり、死亡させてしまったりした場合に、被害者への最低限の補償を行うのが目的です。自分のケガや車の損傷、相手の財物への損害は対象外となります。
| 補償の内容 | 限度額(1名あたり) |
|---|---|
| 傷害 | 120万円まで |
| 後遺障害 | 75万円〜4,000万円(等級により) |
| 死亡 | 3,000万円まで |
任意の自動車保険とは異なり、保険会社によって保険料が変わることはありません。どの会社で加入しても、同じ車種・同じ契約期間であれば保険料は全国一律です。保険料は国の審議会が定める「基準料率」に基づいて算出されます。
2026年度の値上げ|いつから?どのくらい上がるの?
審議会で「6%程度の引き上げ」が明らかに
2026年4月17日、金融庁は自動車損害賠償責任保険審議会を開催し、2026年度に改定した場合は料率で6%程度の引き上げになる見込みだと明らかにしました(中日新聞、2026年4月17日報道)。
前回の引き上げは2013年4月。約13年ぶりの値上げとなります。
正式決定・適用はいつ?
2026年4月時点では、審議会での議論が始まった段階です。正式な料率改定は審議会での答申を経て金融庁が告示する流れとなっており、2026年度内の改定が見込まれています。
正式決定後、金融庁の公式サイトで基準料率が公示されます。適用開始日については、今後の審議会の答申内容に沿って確定します。
ポイント:2026年4月現在は「見込み」の段階です。実際の改定日・正式な引き上げ幅は、金融庁の公式告示をもってご確認ください。
現行保険料と値上げ後の試算
現行(2023年4月以降)の自賠責保険料
自賠責保険料は2023年4月の改定(平均11.4%値下げ)以降、2024年度・2025年度と3年連続で据え置かれていました。以下が現行の主な保険料です(本土用、沖縄・離島を除く)。
| 車種 | 契約期間 | 現行保険料(税込) |
|---|---|---|
| 自家用乗用自動車(普通車) | 24ヶ月(2年) | 17,650円 |
| 自家用乗用自動車(普通車) | 12ヶ月(1年) | 9,270円 |
| 軽自動車(検査対象) | 24ヶ月(2年) | ※注1 |
| 小型二輪(250cc超) | 24ヶ月 | ※注1 |
※注1:軽自動車・バイクの正確な現行料金は、損害保険料率算出機構または各保険会社の公式料率表でご確認ください。
値上げ後の目安(普通車・試算)
自家用乗用車(普通車・2年契約)の場合、6%程度の値上げとすると:
| 項目 | 金額(試算) |
|---|---|
| 現行保険料(24ヶ月) | 17,650円 |
| 値上げ後(目安・6%) | 約18,700円 |
| 増加額 | 約1,050円 |
中日新聞の報道でも「単純計算で1,000円程度の値上がり」と報じられています。
注意:上記試算は報道情報をもとにした概算です。実際の改定額は車種・契約期間によって異なります。正式な料率が公示されてからご確認ください。
なぜ13年ぶりに値上げになるのか?
理由①:医療費の上昇
交通事故による負傷者に支払われる保険金のうち、治療費(医療費)が大きなウェイトを占めます。近年、医療費全体が継続的に上昇しており、自賠責保険の支払額にも影響が出てきています。
高度化した医療・リハビリテーション、入院費の増加などが主な要因です。
理由②:人件費・物価の上昇
損害調査や保険金支払いに関わる業務コスト(人件費・事務費など)が、社会全体の物価上昇に連動して増加しています。
自賠責保険は「ノーロス・ノープロフィット(利益も損失も出さない)」の原則で運営されています。保険金の支払額と収入保険料の収支が合わなくなれば、料率を見直す必要が生じます。
理由③:保険金支払い実績の増加傾向
2023年度改定では、交通事故の減少・安全技術の普及を受けて保険料が大幅に値下げされました。しかしその後、保険金支払いの実績が見込みより増加傾向となり、収支が悪化。今回の値上げ改定につながっています。
ここ13年の推移を振り返る
| 改定年 | 主な内容 |
|---|---|
| 2013年4月 | 値上げ(前回の引き上げ) |
| 2021年4月 | 値下げ |
| 2023年4月 | 大幅値下げ(平均▲11.4%) |
| 2024年度 | 据え置き |
| 2025年度 | 据え置き |
| 2026年度内 | 値上げ見込み(6%程度) |
2023年の大幅値下げの後、わずか数年で再び値上げに転じる形となります。直近3年の据え置き期間を経ての改定です。
自賠責保険料はどうやって決まるの?仕組みを解説
自賠責保険料は以下のプロセスで決まります。
①損害保険料率算出機構が料率を検証・算出
損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構が、交通事故の発生件数・保険金支払い実績・医療費の動向などのデータをもとに、適切な保険料水準を算出します。
②金融庁の自賠責保険審議会で議論
毎年1月ごろ開催される審議会(自動車損害賠償責任保険審議会)で、料率改定の必要性を審議します。2026年は4月17日に審議会を開催しました。
③金融庁が基準料率を告示・公示
答申をもとに金融庁が正式な基準料率を告示します。この告示をもって保険料が確定します。
④適用開始
告示された料率が新たな保険契約に適用されます。
この仕組みにより、保険会社が独自に保険料を決めることはできず、どの保険会社で加入しても保険料が同一となっています。
車検との関係|いつ値上げの影響を受ける?
新料率は新規・更新の契約から適用
自賠責保険料の改定は「保険始期日(保険が始まる日)」が改定日以降の新規契約・更新契約に適用されます。現在有効な保険契約の途中で保険料が変わることはありません。
つまり、値上げの影響を受けるのは、改定後に車検・更新を迎える方です。
車種別の車検周期と自賠責の関係
| 車種 | 車検周期 | 自賠責の更新タイミング |
|---|---|---|
| 自家用乗用車(普通車・軽)新車 | 初回3年、以降2年ごと | 車検時 |
| 自家用乗用車(普通車・軽)継続 | 2年ごと | 車検時 |
| 小型二輪(250cc超)新車 | 初回3年、以降2年ごと | 車検時 |
| 軽二輪(125cc超〜250cc以下) | 車検なし | 任意のタイミング(最長5年) |
| 原付(125cc以下) | 車検なし | 任意のタイミング(最長5年) |
車検が必要な車種は、次回の車検のタイミングで新しい自賠責保険料が適用されることになります。
車検を早めに受けるメリット・デメリット
値上げ前に車検を受けることで、次の2年間は旧料率の自賠責保険料で済む場合があります。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 車検の有効期限前であっても、車検は「有効期間満了日の2ヶ月前から」受けられます(2025年制度変更)
- ただし、自賠責保険だけを早期に更新することはできません(車検とセット)
- 車検代金全体(検査費・整備費など)と合わせて、費用対効果を検討することが大切です
アドバイス:改定前に車検を受けたいと思う方は、車検時期と改定の正式告示タイミングをあわせて確認してみてください。
自賠責保険と任意保険の値上げは別の話
2026年には自賠責保険だけでなく、任意の自動車保険(自動車任意保険)も値上がりしています。
大手損保3社(損保ジャパン・三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保)は2026年1月から平均6〜7.5%の引き上げを実施。東京海上日動も値上げを実施しました。
自賠責保険と任意保険は別制度です。混同しないよう注意しましょう。
| 自賠責保険 | 任意保険 | |
|---|---|---|
| 加入 | 法律で義務付け(強制) | 任意(自由) |
| 保険料 | 全社一律(国の基準料率) | 保険会社・内容によって異なる |
| 補償対象 | 相手方の人身(対人のみ) | 対人・対物・車両・自身のケガなど |
| 上限額 | 死亡3,000万円など | 契約内容により異なる(無制限も) |
任意保険は、自賠責保険の補償範囲を超えるリスクをカバーするためのものです。どちらも「セットで備える」ことが安全なカーライフの基本です。
車の維持費全体への影響を考える
2026年の自動車関連コスト上昇まとめ
| 項目 | 動向 |
|---|---|
| 自賠責保険料 | 約6%値上げ見込み(2026年度内) |
| 任意自動車保険 | 大手各社が6〜7.5%値上げ(2026年1月〜) |
| ガソリン価格 | 補助金縮小・市況変動で高止まり傾向 |
| 車検整備費 | 部品・人件費高騰で上昇傾向 |
| 車両価格(新車) | 資材・物流コスト上昇を反映 |
自動車関連のコストが多方面で上昇している中、自賠責保険料の値上げが重なります。家計の自動車維持費全体を見直すよい機会といえるかもしれません。
家計への影響と向き合い方
自賠責保険料は「選択の余地がない支出」です。加入しなければ法律違反となるため、節約の対象にはなりません。しかし、以下の部分でコスト意識を持つことができます。
任意保険の見直し 任意保険は保険会社・補償内容によって保険料が大きく異なります。年に1回、更新タイミングで複数社の見積もりを比較することで、不要な特約を見直したり、より合理的なプランに切り替えたりできる場合があります。
燃費の良い運転・整備の徹底 燃費の良い運転習慣(急加速・急ブレーキを控える、タイヤの空気圧を適正に保つなど)は、ガソリン代の節約につながります。また、定期的な車の整備は大きなトラブルを防ぎ、長期的な出費の抑制に貢献します。
カーシェアリング・公共交通機関の活用 車を使う頻度が低い場合は、カーシェアリングや公共交通機関を上手に組み合わせることで、自動車維持費そのものを圧縮できる場合があります。
自賠責保険が未加入・期限切れになるとどうなる?
値上げのタイミングに乗じて、「加入しなくていいか」と思うのは絶対に避けてください。自賠責保険未加入・期限切れのまま走行すると、深刻なリスクがあります。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 刑事罰 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 行政処分 | 運転免許の停止(違反点数6点) |
| 事故時の賠償リスク | 被害者への最低限の補償がなくなり、全額自己負担のリスク |
| 任意保険への影響 | 自賠責未加入の場合、任意保険も機能しない |
原付・軽二輪など車検のない乗り物は、更新を忘れやすいため特に注意が必要です。有効期限を確認し、期限の1〜2ヶ月前には更新手続きを済ませましょう。
改定後の保険料はいつわかる?確認方法
正式な料率改定の情報は、以下の公的情報源でご確認いただけます。
- 金融庁公式サイト:審議会の答申・告示が掲載されます
- 損害保険料率算出機構:基準料率表が公表されます
- 各損害保険会社のウェブサイト:適用開始日・保険料が案内されます
今後の審議会の動向に注目しながら、正式な告示をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 自賠責保険は値上げ前に更新すれば安くなりますか?
A. 車検のある車種(普通車・軽自動車・250cc超のバイクなど)は、車検時に自賠責保険を更新します。改定前に車検を受ければ、旧料率で2年間契約できます。ただし、車検は有効期限満了の2ヶ月前から受けられますので、タイミングを確認して検討してみてください。
Q2. 軽自動車やバイクの保険料はいくら上がりますか?
A. 2026年4月時点では正式な料率がまだ告示されていません。車種ごとの改定額は、金融庁の正式告示後に損害保険料率算出機構や各保険会社のサイトでご確認ください。概ね6%程度の引き上げが見込まれています。
Q3. 自賠責保険料の値上げは全車種同じですか?
A. 改定率は車種・契約期間によって異なる場合があります。「6%程度」というのは全体の見込み幅です。普通車・軽自動車・バイクそれぞれで改定率が多少異なる可能性があります。
Q4. 現在有効な自賠責保険の契約中に保険料は変わりますか?
A. 変わりません。すでに有効な保険契約は、新料率の適用外です。次回の車検・更新時から新しい保険料が適用されます。
Q5. 任意保険に入っていれば自賠責保険は必要ないですか?
A. 必要です。自賠責保険は法律で加入が義務付けられており、任意保険で代替することはできません。未加入は法律違反となり、刑事罰・行政処分の対象になります。また、任意保険の多くは自賠責保険の補償範囲を超えた部分をカバーする仕組みのため、自賠責未加入の状態では任意保険も正常に機能しません。
まとめ|2026年自賠責保険値上げのポイント
今回の自賠責保険値上げについて、重要な点を整理します。
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 値上げ幅 | 料率で6%程度(見込み) |
| 前回の引き上げ | 2013年4月(約13年ぶり) |
| 値上げの主な理由 | 医療費・人件費の上昇、保険金支払い増 |
| 正式決定 | 2026年度内(審議会の答申後に告示) |
| 普通車への影響目安 | 2年契約で約1,000円増(試算) |
| 影響を受けるタイミング | 改定後の新規契約・更新から |
自賠責保険は避けられない義務的支出ですが、値上げの内容・タイミングを正しく把握することが、家計の計画に役立ちます。
特に、車検が近い方は改定の正式告示時期と車検時期をあわせて確認しておくとよいでしょう。
今後の金融庁の公式発表をチェックしながら、落ち着いて対応してください。
本記事の情報は2026年4月17日時点の報道・公開情報に基づいています。保険料の正式な改定額・適用開始日は、金融庁の告示をもって確定します。最新情報は金融庁・損害保険料率算出機構の公式サイトでご確認ください。

